『ゲド戦記』は2006年に初の宮崎吾朗が監督を務めたジブリ映画ですよね。
そんなゲド戦記は、ジブリ映画の中でも特に評価が低く、大手映画レビューサイトでは、星5中の2.5という酷評となっています…。
たしかに生死について扱ったり、登場人物がそれぞれ心の闇を持っていたりと、物語が難しくわかりづらかったという部分もありますよね。
他にも評価が低い理由として様々な意見がありますが、その中でも4点については理由として納得できないものがあります!
そこでこの記事では、ゲド戦記の評価が低い理由で納得いかない点について、また、高評価をしている方の意見も挙げてまとめていきます。
Contents
ゲド戦記の評価が低い理由としてよく挙げられる点
ゲド戦記は、レビューサイトで星5をつけた人がわずか4%しかいないという作品で、本当に酷評が多いです…。
低評価につながる理由として、
・ジブリ作品じゃない
・背景美術がビミョー
・原作と全く違う
・何を伝えたいのかわからない
ということがよく挙げられています。
ですが、この4点は理由として納得できない部分があります。
『ゲド戦記』は宮崎吾朗さん初監督作品
ジブリ作品じゃない、宮崎駿監督と全く違うといったレビューがありますが、ゲド戦記はアニメ制作未経験の宮崎吾朗さんが作ったものです。
今までと同じ「ジブリ映画」として捉えられてしまい、期待感や世界観のギャップによって酷評となってしまったのです。
実際に、興行収入76.5億円で、2006年の邦画興行第1位を記録し、アニメ監督の押井守さんからも、「初監督でこれだけのものが普通の人に作れるだろうか? 合格点を与えていいだろう。」と評価されています。
宮崎駿監督も最初は酷評されていた
宮崎駿監督は、ルパン三世の映画版『カリオストロの城』でアニメ映画監督デビューしています。
この『カリオストロの城』も、上映当時は、テレビアニメのルパンのイメージと違うと、ルパンファンから酷評を受けていました。
それまでルパンと言えば、峰不二子のお色気シーンや、狙った財宝は盗んでいくというのが当たり前でした。
『カリオストロの城』ではそんな今までの描写はなく、ルパンは少女の心だけを奪っていくというマイルドな話になっていたからです。
興行収入も、ルパンの前作の映画に及びませんでした。
今までの世界観と異なると、ファンはとくに「今までと違う」と思って拒否反応を起こしてしまいますよね。
ゲド戦記においてもそのような現象が起こってしまい、不当に低い評価となってしまったのだと考えられます。
宮崎吾朗さんプロフィール
宮崎吾朗監督のプロフィールを紹介します。
・生年月日:1967年1月21日、宮崎駿さんの長男として誕生
・最終学歴:信州大学農学部森林工学科卒業
・大学卒業後は建設コンサルタントとなる
・三鷹の森ジブリ美術館の建設に携わる
・美術館開館後の2001年10月から2005年6月まで初代館長として運営にあたる
・2005年の愛・地球博で「サツキとメイの家」の建設の指揮と、『となりのトトロ』で主人公が暮らした家を再現する
大学もアニメ制作に関するところではないので、ほとんど無知の状態から『ゲド戦記』の監督を務めていることがわかります。
酷評を受けた背景美術はフランスの古典美術
ゲド戦記では今までのジブリ作品とは違った、「クロード・ロラン風」の背景美術を取り入れています。
今までのジブリ作品と違って背景美術がビミョーとの評価もありますが、新しい手法なので正確に比べられるものじゃないですよね。
レビューの中には、
・『もののけ姫』のほうがきれいだった
・今まで数々のジブリ作品の美術を担当した男鹿和雄さんの繊細さがない
といったものもありましたが、ゲド戦記の背景美術にも男鹿和雄さんは関わっています。
クロード・ロラン風って?
ちなみに、クロード・ロラン風というのは、
・大気感が漂う理想的風景描写と明暗対比の強い風景描写を融合
・太陽光の効果を最大限に取り入れている
ことが特徴的なフランスの古典美術です。
精密さもありながらも、理想的な風景を描写することにも重きを置いているので、どこか幻想的な印象ですよね。
この手法が今までの作品とは違ったので、ファンには粗っぽいと感じられてしまったのです。
新しい手法だと思って鑑賞すると、ビミョーとは思わないですよね!
『シュナの旅』が原案
ゲド戦記のレビューで最も多いのが、「原作と全く違う」という意見です。
それには理由があり、ゲド戦記は宮崎駿さんの『シュナの旅』が原案となっているからです。
原作だけ見て、全然違うと解釈されるのは少々納得できませんよね。
初めは小説の『ゲド戦記』から脚本を書こうとしていましたが、吾朗監督は行き詰ってしまいました。
それを見た宮崎駿さんが『シュナの旅』を描いたら?と言ったことで、その物語を使っての脚本を制作することになったのです。
原作と原案を織り交ぜているにも関わらず、結果として原作ファンからは「かけ離れている!」と評価されてしまいました。
宮崎吾朗監督も「まっさらな気持ち、雑念のない状態で『ゲド戦記』を見てほしい」と語っています。
『シュナの旅』を取り入れている部分
ゲド戦記では、基本的な構想を、
・前半で、主人公の少年が、悪に捕らえられたヒロインの少女を助ける。
・後半では、ヒロインによって、闇に落ちた少年が心の光を取り戻す。
とし、これは『シュナの旅』と同じ構成となっています。
他にも、アレンの馬は、シュナが飼育しているヤックルに似ていて、監督自身も「あれはヤックルみたいなものです」と語っています。
ちなみに、ヤックルの2本の角は制作段階で取ったようです。
このようにおおまかな流れが原案の『シュナの旅』と同じなので、原作だけで判断するべきではないですよね。
数多くの名言がある
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何を伝えたいのかわからないと言われがちですが、心に残る名言は作中に散りばめられています!
テルーの言葉
「死ぬことがわかっているから、命は大切なんだ。」
アレンの言葉
「人はいつか死んでしまうのに、命を大切にすることなんてできるのかな? 終わりが来ることが分かっていて、それでも生きていかなければならないのかな…。」
ハイタカの言葉
「わしらが持っているものは、いずれ失わなければならないものばかりだ。苦しみの種であり、宝物であり、天からの慈悲でもあるわしらの命も」
「耳をすませてごらん。希望が近づいてくる。」
現代社会に生きる私たちにささり、深く考えさせられるような言葉たちですよね。
気休めの言葉ではなく、現実を見つめながらどう生きていくかを考えさせられるような名言が多いのです。
『ゲド戦記』高評価レビューまとめ
多くの人が酷評している作品ですが、「感動した」という高評価もあるので最後にご紹介します!
星5のレビュー
原作未読。
評価が低い人はジブリ呪縛もあるのでは?
他のジブリ作品にも、このシーンをもっとこうした方がというのはあるし。
すごくいい映画。
絵が嫌いという人もいますが、私は好きです。
登場人物の設定が薄いのも、その人の理解力だと思います。
テルーの唄好きです。
他のジブリ作品とは違うおもしろさがある作品だと思う。
賛否両論がある映画だと思うがいいシーンもたくさんあり、いいセリフも多い。
それに、テルーの唄はほんとに皆さんに聞いて欲しいぐらいいい歌。
感動する場面もあり、人間について考えさせられる作品だと思う。
星4のレビュー
原作を知らない私としては、ゲド戦記という1映画作品として観て良かった。
酷評もあるが
「子供ではないので分かりやすさは要らない」「原作は知らない」「細かい疑問にこだわらない」
という私のような者からすれば傑作である。
私はジブリ作品のなかでゲド戦記が1番好きです。
竜と人間が暮らしているという世界観、テルーの挿入歌はとても素敵だと思います。
また、生と死について深く考えさせられます。
【まとめ】ゲド戦記は心に残る作品
以上この記事では、ゲド戦記の評価が低い理由で納得いかない点について、さらに、高評価のレビューも紹介してまとめたものになります。
宮崎吾朗監督初作品なのに、酷評されてしまった理由は、やはり父親の宮崎駿さん、そして「ジブリ映画」というブランドの影響ですよね。
ですが、ご高齢の宮崎駿さんに代わって新しいジブリを作っていくという点では、酷評されるほどの映画ではないはずです!
ある意味ここまで低評価されているジブリ作品はないので、酷評した人にとっては「心にしこりが残る作品」、高評価した人にとっては「考えさせられる良い作品」として多くの人々の心に残る作品ですね。
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