シオンタウン症候群という言葉を知っていますか?
1996年に発売された初代ポケモンゲームにまつわる、ある怖い都市伝説から生まれた言葉です。
初代ポケモンゲーム「ポケットモンスター赤・緑」で遊んでいた子どもが、つぎつぎと自殺をはかるという怖いうわさ。
どうやらカギをにぎるのは、ゲームのBGMだというのです。
この都市伝説、日本ではそれほど話題にはなりませんでしたが、海外では「ラベンダータウン症候群」と呼ばれ、子どもたちを恐怖におとしいれました。
この記事では、初代ポケモンゲームの怖い内容と、特に海外の子どもたちを震撼させたBGMのなぞをさぐりながら、都市伝説の真実にせまります。
<ポケットモンスター赤・緑>
ジャンル:RPG
発売日:1996年2月27日(日本)
1998年9月28日(アメリカ)
1998年10月23日(イギリス)
発売元:任天堂
対応機種:ゲームボーイ
音楽:増田純一
Contents
シオンタウン症候群とは?
初代ポケモンゲーム「ポケットモンスター赤・緑」で遊んでいた7歳~12歳の子どもが、つぎつぎとなぞの体調不良に苦しんだり、自殺をはかるという現象が起きました。
その人数は200人以上といわれます。
子どもたちにはつながりはなく、住む場所もバラバラだったとのこと。
ただひとつ共通する事実は、直前まで遊んでいたとされるポケモンゲームのセーブデータを調査すると、すべてシオンタウンを攻略中だったということです。
これが、のちにゲームファンの間で「シオンタウン症候群」と呼ばれるようになりました。
都市伝説となったシオンタウンの恐怖
シオンタウンは、ゲームの舞台であるカントー地方にある町のひとつで、イワヤマトンネルを抜けると現れます。
この町には、死んだポケモンたちを弔うために建てられた塔が存在していて、多くの人が墓参りに訪れます。
シオンタウンに足を踏み入れた途端、これまでの楽しいトーンとは一転し、急に不気味な世界観へと引きずり込まれていくのです。
シオンタウンのテーマそのものが、ホラーな要素を含んでいますが、他にも子どもたちに恐怖を与える数々の要素が散りばめられています。
子ども時代にプレイし、今もトラウマのごとく心に刻みこまれているという人も・・・。
シオンタウンの怖さとはどんなものなのかさらに詳しく探ってみました。
シオンタウンの名前の由来
シオンタウンの不気味な要素に、「シオンタウン」というネーミングの由来が考えられます。
シオン(紫苑)とは、薄紫色のキク科の植物で、日本では生花として多く栽培されていますが、仏壇や墓参りの際に、仏花として供えられることが多いお花です。
どちらかというと、地味で清楚な印象であるため、少し物悲しい雰囲気を漂わせています。別名「オモイグサ」とも呼ばれます。
また、海外では薄紫色を表現するために、ラベンダーが採用されたことから、「ラベンダータウン」と名づけられました。
このシオンというお花が一面に咲いていることを想像してみてください。
シオンタウンそのものが、すでに“あの世”なのではないかとさえ思えてくるのです。
ポケモンタワー
シオンタウンには、死んだポケモンを弔うために建てられたポケモンタワーがあり、内部は亡くなったポケモンのための何百もの墓石で埋め尽くされています。
このホラーな設定だけでも不気味さを漂わせていますが、ここで繰り広げられるバトルで、プレイヤーたちはシオンタウンのトラウマを強く植え付けられることになるのです。
ポケモンタワーでは、ゴーストタイプのポケモンと出くわします。
トレーナーが“きとうし”であり、しかもポケモンの霊にとり憑かれているという怖い設定。
ゴーストタイプのポケモンはシルフスコープというアイテムがないと戦うことができず、バトルで勝つことでゴーストを成仏させられるというこだわりのストーリー展開なのです。
おまけに、ポケモンタワーで遭遇するライバルについて、プレイヤーはあることを疑問に思います。
「ライバルがここにいるのはなぜなんだろう?」
次に、ライバルのポケモン“ラッタ”がいなくなっていることに気づきます。
そして、「おまえのポケモン死んだのか?」のセリフにより、ラッタはすでに死んでいて、その魂を弔うためにライバルはこのポケモンタワーを訪れたのではないか?という想像をかきたてられるわけです。
こうして、プレイヤーたちは知らず知らずのうちに、トラウマチックな恐怖を植え付けられていくことになります。
不気味なBGMに秘められたなぞ
シオンタウン症候群にまつわる最大の恐怖は、不気味なBGMにあるといえます。
シオンタウンに入ってから、町にいる間ずっと流れているこのBGM。
恐怖を演出するには充分すぎて、大人が聴いても少し怖いほどです。
不気味なあまり、音源をOFFにしてプレイした子どももいるとか・・・。
このBGMがどんな影響を子どもたちに与えたのでしょうか?
シオンタウンのBGMの音源の秘密とは?
子どもにしか聞こえない高音
BGMの雰囲気というより、音源そのものにこのなぞを解くカギが隠されています。
この音源には子どもにしか聞こえない高音の周波数が含まれていて、鼻血や頭痛に苦しんだり、理由もなく怒ったり感情的になったりした子どもが続出しました。
シオンタウンの音源を調査すると、バイノーラル方式で録音されたことが判明しています。
バイノーラルビートとは、現在、脳卒中などの後遺症の治療にも利用されていることから、何らかの影響を脳に与える可能性は充分あります。
最終的に、ポケモン赤・青の英語リリースでは、音楽が変更されてしまいました。
子どもにしか聞こえない高音が、脳に一時的な異常を引き起こしたとしても不思議ではありません。
周波数のグラフに幽霊の影
シオンタウンのBGMには、もうひとつ不思議なうわさがありました。
周波数をオーディオ分析すると、グラフに幽霊のカタチが現れるというのです。
このうわさは、気味の悪いBGMの都市伝説を発端とした完全なデマだったといえます。
もともと周波数の解析グラフは規則性がなく、見る人の想像力でどのようなかたちにも見えてしまうからです。
また、この幽霊のカタチの解析グラフの画像はどこにも出回っていないことが何よりの証拠といえます。
感受性豊かな子どもに与えた影響
ポケモンゲームの中でもゴーストが現れる場所として、ホラーな設定と、実際に起きた子どもの怪事件によりシオンタウン症候群という都市伝説が生まれました。
少なくとも200人の子どもが亡くなったという事実とこのゲームのBGMとの因果関係は明らかにはなっていません。
ただ、シオンタウン症候群について調査するうちに確実に分かったことがあります。
それは、シオンタウンのホラーな設定と、BGMの不気味さが奇妙にマッチングし、想像以上の効果を生み出したこと。
そして、感受性の強い子ども(7歳~12歳)に予想以上の恐怖を与えてしまったということです。
こうした子ども時代のトラウマチックな記憶が、エンターテインメント好きな海外の人たちにより誇張され、さらに都市伝説を膨らませていったと考えられるのです。
初代ポケモンゲームのシオンタウン。少々子どもたちには刺激が強かったのかもしれません。
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