プロ野球の世界では、シーズンがオフになると契約交渉という時期を迎えます。
全シーズンでの活躍を振り返った上で、契約を更新するかどうか決めるわけですね。
活躍した選手にとっても、そうでなかった選手にとっても、次のシーズンの年棒を左右する大切な時期だと言っても過言ではないでしょう。
その時の成績によって年棒も大幅に変わるとなると、成績を残すことがとても大切だということが分かりますよね。
さて、そんなプロ野球選手の契約事情ですが、年棒には減額制限というものがあります。
減額制限とはいったいなんなのでしょうか。
この記事では、
・プロ野球選手の年棒減額制限とは?
・減額制限は意味ない?
・税金はどうなるのか?
と言ったことについて詳しくみていきたいと思います。
Contents
プロ野球選手の年棒減額制限とは?
まず、減額制限とはいったいなんなのか、説明していきましょう。
野球協約に記載されている年棒の規定には、プロ野球選手の年棒が急激に下がらないようにするための取り決めが記載されています。
どのように書かれているのかというと、年棒が1億円を超える選手は、年棒の減額制限が40%以内になるように定められています。
そして1億円以下の選手の場合は、制限が25%です。
具体的に数字で見ていくと、年棒が1億円だった場合は、4000万円までの減額はあってもそれ以上はないということですね。
この制度だと6000万円までの年棒は保証されるということになります。
過去の事例
それでもよくニュースなので耳にするのは、選手の年棒が大幅に減ったというものですよね。
減額制限があっても大幅に年棒が減ってしまう選手がいるのも事実です。
過去には、2016年に杉内俊哉選手が5億円から5000万円という大幅な減額がありました。
そのほかにも、2013年に小笠原道大選手の4億3000万円から7000万円への減額も印象的でしたね。
億単位の減額で、杉内俊哉選手の場合は90%という本当に大幅な減額です。
減額制限の規定にあるはずの40%を大幅に上回っていますよね。
これはいったいどういうことなのでしょうか。
減額制限の矛盾?
野球協約にはもう一つの記載がありました。
それが「ただし、選手の同意があればこの限りではない」という文章です。
それはどういう意味なのかというと、減額制限よりも大幅な年棒の減額が提示されたとしても、選手がそれに同意すれば大幅な減額も認められるということですね。
とても複雑で難しいです。
とにかく一方的な提示は認められなくても、選手がその年棒の額に同意すれば契約は成立するということですね。
逆に同意できない額ならば、そこでは契約せず、別の球団に入団するという選択肢の幅が広がります。
実際に、契約内容に同意せず、自由契約になったり、他の球団に移籍した選手もたくさんいます。
そうすることによって、新しい活躍の場を見つけることができるというメリットもありますね。
減額制限は意味ない?
ニュースでは大幅な減額は取り上げられることが多いです。
そんなに頻繁に減額ばかりされているのに、破っていい規定なの?規定の意味あるの?と思われてしまいそうですね。
大幅な減額も認められてしまうということは、減額制限って意味がないものなんでしょうか?
一見、あってもなくても関係なくない?と思ってしまうかもしれませんが、実はたくさんの意味があるんです。
減額制限がなかったらどうなるか
減額制限の規定がもしなかったらどんなことが起こるでしょうか?
まず、力のある選手でも年棒が大幅に減ってしまう可能性が増えるということが挙げられます。
球団が自由に年棒を決めることができてしまえば、年棒を安く済ませようと考えるところも出てくるかもしれませんよね。
そして、今現在の規定では、年棒の減額制限を超えていた場合には、自由契約という選択をする権利が認められていますが、それも難しくなってしまいますね。
年棒の大幅減少を鵜呑みにするしかないといった状況になってしまうかもしれません。
他の球団に入団するチャンスも奪われてしまう可能性がでてくるわけです。
選手の同意が必要なわけ
減額制限だけでなく、しっかりと定められている選手の同意があれば認められると言った文章がありましたね。
それもとても重要な1文であることが分かります。
選手の同意がなく自由に年棒の設定ができれば、ベテラン選手でも、とてもいい成績を収めていた選手でも、スランプに陥ったりすると簡単に引退させられるリスクが高まるのではないでしょうか。
大幅な減額を提示されて、自由契約になることで引退につながってしまったりといったことが頻繁に起こりうるかもしれません。
逆にどんなに好成績を残したとしても、年棒があまり上がらないといったことも起こりそうですね。
いらなそうで、実は重要な役割を果たしている減額制限。
うまく野球界の年棒をコントロールしている秘訣なのかもしれません。
税金はどうなるのか?
減額制限の仕組みはなんとなくわかってきたかと思います。
制限が設けられていたとしても、大幅は減額が起こることも多々あります。
そんな時、プロ野球選手たちは税金を払えるのしょうか?
とても大きなお金が動くのがプロ野球界の契約だという印象を受けます。
年棒も億単位のものもあり、払っている税金も桁違いですよね。
所得が4000万円以上の場合は所得税を45%収めることになっています。
それに加えて、住民税も10%払う義務があるので、ざっと見て所得の半分以上を税金として収めていることになりますよね。
例えば、年棒が5億円だった選手が、1億円になった場合、前年分の2億5000万円以上を税金で支払わないといけません。
単純計算でも収入の2、3倍の税金を納めることになるわけですから、貯蓄がない限りとても払える額ではありませんね。
過去にも、中村紀洋氏が2006年に2億円から400万円に年棒が減ったことで、貯蓄がなく払えるか不安と言った告白が大きく取り上げられたことがありました。
そんな事態も予測した上での貯蓄が大切なのかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この記事では、
・プロ野球選手の年棒減額制限とは?
・減額制限は意味ない?
・税金はどうなるのか?
といった内容について見ていきました。
年棒減額制限は、年棒の額によって25%〜40%の定められた減額の制限があり、選手の同意がない限りそれ以上の減額ができないことが分かりましたね。
逆にいうと選手の同意があれば、それ以上の減額もありうることもわかりました。
それでも、減額制限に意味がないのではなく、選手の力に合わせた減額や、移籍のチャンスなど、メリットもあります。
大幅な減額で、巨額な税金の支払いに不安を感じる選手がいるのも事実です。
大きな金額が動くプロ野球の世界でうまく生きていくためには、適度な貯金も大切なようですね。